ヤングマガジンで連載中の「センゴク」の単行本が1,2巻同日発売された。時は戦国時代で主人公の名前が仙石(センゴク)ということで、私はてっきり想像上の人物かと思っていたが、インターネットで検索をしていて実在の人物であったことを昨日知った。

 仙石権兵衛秀久は斎藤龍興に仕えていたが、龍興の稲葉城が信長により攻め落とされたときに、織田信長に召抱えられ、木下藤吉郎秀吉の配下となったという。このコミックはまさに稲葉城が攻められるところからはじまる。幼馴染と別れたセンゴクは一人裸馬に乗って槍を振り回し敵陣に突入。取り押さえられて信長の前に引き出される。この場での信長とのやり取りは迫力満点かつ心理戦でもあり、面白かった。生き延びるために必死なセンゴクと、センゴクに興味を持ちながら素直にはそのことを示せない信長。表面上は戦国時代の合戦ものであるが、実は登場人物の間の人間関係、心の交流が主題なのかもしれない。

 仙石は秀吉の配下となるが、初めは受け入れられない。しかし、秀吉と天才軍師竹中半兵衛との間をとりもつなどしているうちに、秀吉とセンゴクとの間にも心の交流ができてゆく。
 2巻では柴田軍との試し合戦が見所だが、その中で失態をおかしたものの、それをリカバーしたセンゴクに対して信長が言う。「武士の本分は失敗の折にこそみえる。腹を切って責任を逃れるか・・・ 死線を超える生命力をもって失敗を上回る武功を成すか・・・。」
 
 1巻の帯には仙石権兵衛秀久について『戦国史上最も失敗し、挽回した男』というタイトルをつけている。仙石権兵衛はその後、大阪城内での石川五衛門を召し取り、小田原攻めで抜群の戦功を上げ、子孫は但馬出石藩主となっているのだ。
 「センゴク」は誌上では金ヶ崎城戦での撤退戦でしんがり部隊を命ぜられたところ。これから、どうなってゆくのか目が離せない。

センゴク 1 (1)
4063612848宮下 英樹

講談社 2004-11-05
売り上げランキング : 27,327

おすすめ平均star
star追撃
star歴史に興味のない人でも読める傑作

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



センゴク 2 (2)
4063612856宮下 英樹

講談社 2004-11-05
売り上げランキング : 22,303

おすすめ平均star
starリアルさと娯楽が両立していると思います。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools




{プラスワン}

 「センゴク」は戦国時代の合戦をかなりリアルに描いている。槍ぶすまの弱点や騎馬武者の戦い方などは興味深い。このあたりの時代考証に興味のある方にはこちらがお勧め。著者は時代考証の専門家で、古武道の宗家でもある。読みやすくて面白い上に文庫本なので経済的だ。
 
間違いだらけの時代劇
4309471846名和 弓雄

河出書房新社 1989-07
売り上げランキング : 99,046

おすすめ平均star
starよりよい時代劇への願いがこもった本

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



続 間違いだらけの時代劇
4309472656名和 弓雄

河出書房新社 1994-04
売り上げランキング : 123,440

おすすめ平均star
star時代考証家が時代劇を斬る?

Amazonで詳しく見る
by G-Tools